心の鏡

気がつくとスピリチュアルという言葉が当たり前に使われるような時代になりました。

精神世界やニューエージという言葉がまだ耳慣れない頃、その手の本を探すのに苦労したことを思い出します。

精神世界という領域は広く、トランスパーソナル心理学をこのジャンルに含める人もいれば、占いやコックリさん、UFOや宇宙人まで幅広くカテゴリーされています。

非科学的分野の宿命でしょうか、誤解や偏見を持たれることも多いようです。

表現アートセラピー画像2非物質なら、心や思想、神学など形而上学も含まれるはずなのに、何か荒唐無稽な対象として扱われてしまうのは残念な現象です。

一方で、スピリチュアルに熱狂する人達がいることも事実。

悩み多き人生の途上で出会った精神世界のアイデアは福音のような感動をもたらすのかもしれません。

様々な精神世界のセミナーを体験した結果、世捨て人のように人生を劇的に変化させる人も少なくありません。

私がかつて出会った人達の中にも、生き方をがらりと変えてしまった人達がいました。多くは現状を受け入れられず、スピリチュアルな世界に活路を見い出して行った人々でした。

表現アートセラピー画像3私自身もいろいろな経験をしてみて思うのは、バランスの大切さについて。

目に見えないものをすべて否定してしまう物質至上主義にも納得できませんが、なにもかもを天使にゆだね、現実社会から目を背けるのも疑問なのです。

大切なのは、あらゆるレベルのエネルギーの存在を受け入れ、探求しながら、身体、心、魂の存在の繋がりを確かめていくことが大切だと感じます。

身体の声を聴き、生活する術を磨き、心の在り様を見つめ、魂として生きること。

そのためには、自分の中のあらゆる感覚を豊かにする必要があります。
心のメカニズムを探求しながら、脳の機能を理解するのです。

表現アートセラピー画像4瞑想なども、潜在意識を辿りその先のリソースに繋がる方法の一つです。
心をリラックスさせながら、意識を五感を越えたもう一つの感覚、第6の感覚とも言える、直感や霊感覚にフォーカスして行きます。

痛む心を癒すことも大切ですが、癒しの源流となるエネルギーの源と繋がるというアプローチが、スピリチュアルな世界には存在しています。

ビジョンクエストとは、ネイティブアメリカンの伝統的な通過儀礼ですが、この内的な世界の探求になぞらて、スピリチュアルなワークショップを晩秋の軽井沢で行いました。

11月の北軽井沢は紅葉シーズン真っ盛りです。

今年は少し暖かかったせいか、いつもより彩りにインパクトがないのが心残りでしたが、毎日のように変化する山を眺めながら深まる秋を感じていました。

表現アートセラピー画像5スピリチュアルなテーマのワークショップならでは、参加する人達は、さぞかしその世界に詳しく、精神世界が大好きな人ばかりなのかと思っていたら、予想とは違い、純粋に表現アートを楽しみに訪れた人達ばかりでした。

予想が外れたことは、私にとってはとてもうれしいことでした。

皆、純粋にこのスピリチュアルな世界について、盲信しているでもなく、興味本位な思い違いをしている様子もありませんでした。

多くの人は、チャネリングやヒーリングには特異な能力が無いと出来ない、と信じているようです。
それ故、現実世界の問題から抜けだし、在りのままの自分を否定するためにスピリチュアルな能力を求めるというケースが目立ちます。

しかし現実は、違っていたりするのです。

霊的な世界を特別視することにより、現実生活を否定するうちに、地に足のつなかい幻想にとらわれ、目に見えないエネルギーに振り回される人達が後をたちません。

表現アートセラピー画像6本当は、在りのままの自分自身の姿をまっすぐ見つめることが一番大切なステップだったりするのです。そうすると、とても簡単にその道が示されるのです。

4日間のワークショップでは、そのコンセプトを基に、改めてスピリチュアルとはとても普通のこと、人間の持つ能力の一つの形なのだということから順番にゆっくりと学んでいきました。

ヒーリングもチャネリングも、特別な能力ではなく、いかに固定観念を変化させ、恐れを手放し、リラックスすることで回路が開くということや、可能性の扉を開けるためのエクササイズを体験しました。

学んで行くプロセスの中で難しかったのは、自己の高い存在とのコミュニケーションについて。そこで、誰もがぶつかるのが、自己信頼という壁です。

自分の中に、自分が崇拝できる存在が在ることを信じられないという思い。

自己信頼とは、つまり自分の価値を認めるという状態なのですが、これが一番難しいようです。

自分を信じたいけれど、それがおいそれと出来ない歯がゆさがある。

信じたいけれど、できないという葛藤を越え、ただ身体の力をぬくこと、リラックスした時間を過ごすことを繰り返しながら、やがて自分と繋がり、それをあるがまま受け入れる準備ができたとき、ふと 自分の中から出てくる言葉の力に気付きはじめるのです。

自然の中で時間をかけてゆっくりとすごしながら、だれもが自己の英知の言葉に触れることをはじめていました。

合宿生活の時間のなかで、皆まるで幼なじみのように打ち解け、余分な荷物をほどいて行きました。

自分自身の神性と出会うという特別な体験は、実は地に足がついた、リアルな体験でもあるのです。スピリチュアルな世界を求めるとき、一番大切なことは、現実の生活といかにリンクさせていくか、ということです。

表現アートセラピー画像7現実社会の中で、もしも自分自身を見失ったら…。

ぜひ、一呼吸してからとても高い視点を求めてください。
誰に頼らなくても、自分の中からホッとするような答えが沸いてくるはず。

困った時の神頼みの相手は一番身近な自分自身という回路にあるようです。

そうそう、今日から師走ですね。
ワークを終えたみなさん。
今年の大掃除と一緒に、心の鏡を磨くことを忘れずに…。