桜のとおり道

表現アートセラピー画像2昔、ある人に私の仕事について話すとき、なんだか上手く説明出来なくて、ただ「ガソリンスタンドのような仕事です」と答えたことがありました。
でも、これは後から考えるととても、このアートセラピーを提供するときのぴったりとして表現なのかなと今は思えるのです。
旅先で、夜中にガソリンスタンドを探して彷徨うとき、あの看板が見えたときの安堵感。
そんな場所や時間を供給できる存在になることが、いつしか自分の目的となっていました。

表現アートセラピー画像2人生という長い道の途中に立ち寄る、停留地、そして通路のようなその場所は
これから何処へ続くのか、何処に行ったらいいのかを

振り返る場所でもあるのです。
行く先は、自分で決めていいのです。
誰かに道順を聞くことはできるけれど、行き先を聞くことはできません。

寺院は行く先を教えてくれるかもしれないけれど、ガソリンスタンドにはそれが出来ません。
それでも、私は通路やガソリンスタンドで良いと思うのです。
これからの旅に必要なエネルギーやメンテナンスを供給するだけなのですが、これが私にとって、とても楽しい仕事となりました。

表現アートセラピー画像2毎年、縁ある人がこの場を通って行きます。桜咲く、この春の季節に援助者のための専修講座の最終回を迎えました。
半年間のこの講座は6回に渡って、表現アートや心の仕組みを学び体験します。
半年前、初めて集まった顔ぶれでスタートした日がなんだか、ずっと昔のことのように、皆見違えるように、うち解けて素顔を見せてくれるようになったことが、なによりも嬉しいことです。

援助者のために、と考えて始めたコースでしたが、援助するのは誰よりも自分自身ということを、誰もが気づき始めていました。
助けを求めている自分に気づいたとき、誰もが自分への関心で心がいっぱいになります。
表現アートセラピー画像2その扉はおそるおそる開けるのだけど、怖がることはないと私は何度もみんなに伝えます。援助のスキルやテクニックは、自分を支え、助けることで、自然と見につくものなのだろうと思います。

自分を探求し、表現することへの大切さが、継続して学ぶ時間の中で深まっていくということに、誰もが気づきはじめました。
ふとつぶやいた人の「学ぶことは永遠に続くのですね」という言葉には、ため息ではなく、良い意味で覚悟ができたような響きがありました。

そう、旅はずっと続きます。

表現アートセラピー画像1

自己の探求という旅の目的地は・・。
自分の中の叡智を見出し、それを信頼すること。
講座の最後に皆、その感覚を思い出しているようでした。

そんな皆に私はただ感謝の気持ちを伝えるだけです。
ありがとう・・自分、そして皆との絆を創ってくれたことへ。
みんなの勇気と、その見事な表現力にただ感動をもらいました。
表現アートセラピー画像3最終回のこの日、まるで旅立ちを祝うような満開の桜が会場の窓の外でやさしく揺れてました。

私はいつものように、みんなからもらったエネルギーを供給するため、今日もガソリンスタンドは営業中です。