光の巡礼〜3・11インテグラル・アートセラピーを終えて

3月11日。 東日本大震災を経て、今日で1年という節目を迎えました。
私達日本人は、この日の意味を模索しながら、未だトンネルの中に佇んでいるような気がするのです。まだ癒されない痛みや悲しみ、苦しみの中、被災地である東北、そして日本は再生への手がかりを見つけようとしています。

この特別な時間を、私はインテグラル・アートセラピーのコースが行われている鎌倉で迎えました。地震が発生した午後2時46分の時間に合わせ、集ってくださった人達と、祈りと解放の時間を持つことができたことは、私にとって、そして参加者全員にとって、大きな癒しの体験となりました。

表現アートセラピー画像2私達は、テレビもラジオも新聞にも触れずにこの時を過ごしていましたが、どこかで、世界中の人々と心を同じくしていたような気がしていたのです。溢れる涙と共に大きなエネルギーを感じていました。たぶん、同じ時刻に世界中の祈りが結実したのだろうと思います。

その成果がもたらされるのは、もしかしたら遠い未来のことかもしれませんが、あの日の経験が私達に教えてくれた意味の大きさに、今はただ圧倒されるしかありません。それでも、流れる涙は、ただ悲しみだけではなく、感謝と勇気をもたらすものだったのです。

私たちは、幸いにもたいした被害に見舞われずにその後の1年を過ごし、そして今日のこの日を迎えました。

あの日からずっと、そこに悲しみや苦しみが在ることに、私達日本人はもはや目を背けることはできませんでした。それでいて、何もできないジレンマや、自らの恐れや無力感から自分を責めていることさえ気づかずに、日々を過ごしていたのかもしれません。

私達は、1年前のあの日、テレビで見た映像を経て、そこで起こった出来事の脅威に恐れおののきました。そして、家族や家を失った人々への心配と、悲しみがありました。それ程、すべての日本人にとってこの震災がもたらした影響は大きいものでした。
しかし、その痛みを表現することに、どこかではばかっている自分がいたのです。亡くなった方々や、現地で今もなお復興に関わっている人々を思うと、被災者ではない人間が心に負った傷のことなど、話してはいけないと無意識に感じていたのかもしれません。

表現アートセラピー画像3祈りの中で私達が気づいたのは、癒されることを求めていたのは自分自身だったこと。深い心の中に、解放を待つ悲しみが雪のように積もっていたことを知ったのです。

やがて心をに調和が戻ったとき、あらためて自分に力があったことを思い出しました。もしかすると祈りは、旅立った魂と共に、私達の魂をも癒してくれる唯一の行動なのかもしれません。

こうして私達日本人、一人一人が、自分自身の心や身体すべてに責任をもち、これからの日本の未来にむけて、自分なりの復興に参加していく事が望まれます。まずは、自分との関係をよりよいものとし、さらに社会との関わりへと繋げていくことが大切な課題だと思うのです。

今この瞬間、世界中に、苦しみ、悲しみ、命を無くす存在がいることに、私達は目を背けることはできません。しかしそれは、駆り立てられるように援助をすれば良いということではないのだ、ということを、この人生の中で学んできたように思います。

表現アートセラピー画像4昔、マザー・テレサがインドでの奉仕を希望してやってくる人々に「帰って、あなたの身近な人に奉仕をしなさい」と語ってくれました。
つまり、マザーは、自分の身近な世界をまず幸せにすることを説いてくださったのだと思います。

そして、今日また一つ気づいたのは、奉仕が必要としている一番身近な存在とは、自分の内なる子供なのではないか?ということ。私の内なる子供は、3・11の大きなショックと悲しみを、どう理解したら良いかわからず、ただ助けや癒しを求めていたのでした。

そう気づいたとき、自分自身のシャドーとして存在する被災者や犠牲者に対する自分の感情の意味がわかり、知らずに背負っていた荷物の重さをようやく手放したような気持になりました。

祈りがもたらした癒しは、私の心と身体と、シャドーそして魂を統合してくれたのです。

インテグラル・アートメディテーションの講座で、私達が学んだのは、まさに心と魂と身体の統合であり、自分とは誰か?を問い、その答えを導き出すことでした。

表現アートセラピー画像5ワークは、身体やイメージをふんだんに使い、できるだけ理解が身体に落ちてくるのを待ちました。そして、心のシャドーとなる内なる子供とつながる体験や、そんなときも常に自分と共にあるスピリットとの関係を保つインテグラルな意識は、私達をしっかりと、「いま、ここ」にグラウンディングさせてくれるものとなりました。そんな学びの卒業の日がこの3月11日と重なったことに、不思議なシンクロを感じているのです。

この日を境に日本は、復興への新たな出発に心を一つにしたことでしょう。今はそれは果てしない闘いの道の上に居るような気持だとしても、かならずいつしかそれは、希望と喜びへと続く道に変わって行くはずです。
これからの未来を創るのは、紛れもなく私達一人一人だということ。その責任を、心からワクワクと果たして行(生)きたいと思うのです。

大切なことを、教えてくれた、震災の犠牲者の人々の魂へ。
今もなお復興のため闘う人々へ。 そして、支援を続ける人々へ。
そして、世界中に居る困難と立ち向かう人々へ。

表現アートセラピー画像6私達は、この貴重な体験を決して無駄にはしません。
いつか、この悲しみと勇気が実を結び、花開く日を迎えられますよう、
どうぞ遠くから見守ってください。

心からの冥福と、感謝と、愛をこめて。

愛と共に

吉田エリ