禁断の果実~人間関係の秘密(後編)「謎を解く鍵」

「人間の悩みはすべて人間関係の悩みである」と、
アドラーは名言している。

20世紀初頭、アドラーは、フロイトの研究グループに招かれてユングらと共に活動をしていた時代があったが、そんな時期にこの名言は生まれたのかもしれない…。
結果的に彼は、フロイトやユングと袂(たもと)を分かち皆それぞれの持論を展開することになる。あれだけの個性派ぞろいだから無理もないが、そもそも人間が意見を共にすること自体が容易いものではない。

出会って意気投合すれば親交を深めたくなるもの。
独りの気ままさよりも、誰かと響き合い共感する心地良さや、心強さが嬉しく感じるシーズンがある。でも、たいていの人はそんな蜜月期を過ぎる頃、モヤモヤとうごめく例のフィラメントに悩まされはじめるのだ。

悩んだり、葛藤のあげくに対立したりするよりは、いっそ距離を置こうと決める人は多い。これは、人づきあいが苦手な人はもちろん、人好きな人でも体験するプロセスだったりする。
表面的なつき合いならそんな煩わしさはないからなるべく人に近づかない人も多いが、人と関わって仕事をする場合や家族ともなると、そうもいかない。
だから、誰しも大なり小なりいろんな人間関係の悩みを抱えているものなのだ。

この私も同様に、あらゆる人間関係の問題を抱え続けて来たが、もはやこれは永遠の課題なのだとあきらめるようになっていた。そんな時、このやっかいな人間関係を潤滑にする秘策があることを知ったのだ。

それは、コード(暗号という意)という名の、誕生日の数字の組み合わせで読み解く古代の智慧だった。コードの理論は、中国の春秋戦国時代に遡り派生した陰陽五行思想にとても良く似ている。

宇宙は5種類の元素で構成されており、それらは互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し循環している。人間も自然界の一部であるため、その影響を受けて存在しているのだ。

コードを過去の人間関係に当てはめてみると、面白いように人の気性や能力、性質などを読み解くことができる。小学生でも解るような簡単でシンプルな算出法に、はじめは懐疑的だった私も、やがてその信憑性に驚き、まるでダイヤモンドの原石を拾ったような気分になった。

このコードという叡智は、ヨーロッパのある小さな村に住む家族に先祖代々伝授された秘儀だという。
口述で伝えられたその秘宝の起源ははっきりしていない。
探求好きな私は、さっそくその智慧のルーツを調べはじめた。すると、知れば知るほど、探求すればするほど、興味深い。これまで知っていた占いには感じたことがない可能性が見えて来たのだ。

面白いことに、これまで探求してきた数秘術がコードと出会うとさらに深い理解が得られることもわかった。私は、これをソウル・コードと呼び、過去のデータを検証しているが、早くも人間関係に悩む人達へのサポートに役立つ重要なツールとなりつつある。
そのソウル・コードの特徴を少しここで紹介しよう。

宇宙におけるすべての存在は、原子レベルで云えば同じモノで出来ているらしいが、その構成要素は個々一人一人異なっている。たとえば、人間の肉体の細胞にはDNAという遺伝子情報が組み込まれている(同じ配列のモデルを持つ人はほとんど存在しない)ように、人間の性格や気質、技能などの情報がコードの暗号から読み解くことができる。

人は、それぞれ得意分野が分かれるし、同時に幾つかの能力や性質を兼ね備えていることもある。知性や感性、行動力や計画性と受容力という要素は、木火土金水という陰陽五行の極となる東西南北を表すの座標軸の中に当てはめることができる。それらの極に個人の誕生日の数字から割り出した組み合わせパターンを読み解いていくのがコードの手法である。

普通なら、他者はもちろん自分のことさえ理解に苦しむことがあるけれど、この情報を知ると、人間関係のトラブルの原因が解ってくる。

たとえば、誤解はこうして始まる。
自分が嬉しいことは、相手も喜ぶだろうと期待し、自分が当たり前だと思うことは、人も同じだと疑わない。だから、期待や宛てがはずれると皆「信じられない~!」と驚くのだ。常識や道徳や倫理なんて、在っても無いようなものに等しいのに…。
皆が同じ情報を共有しているという幻想から醒めることはない。

同じものを見ているようでいて、それぞれが異なる「見方」しているならば、同じものに見えていない可能性が高い。

誰もが自分を基準に価値観や常識を決めている。
しかし、実はそれが大きな間違い。自分のことさえ不可解なのに、相手の意向などを察知することができるだろうか?

そんなことに気づかず、人は相手に自分勝手な思い込みや期待を押しつけてしまうことがある。
特にはじめての人に対しては、最初の好印象がずっと続くと思い込むが、そんなはずはない。あっさりと、期待は裏切られ、挙げ句、相手に対して偏った判断を下してしまう。

そうやって、どれほど私達は人間関係を壊して来たのだろうか…?
…なんだか、もったいない話だ。

だけど、もしコードの智恵を知ることができたなら、相手が自分の知らない世界に生きていることに気がつくことができる。
同じモノを見ているようでいて、異なる「見方」をしていることが解る。

すると、どうしてあの人が、よくわからない行動をするのか? どうして、この人とこんなにも価値観が異なるのかが理解できるような気になるんだから便利だ。
これは人間関係に悩む人にとっては朗報でしょう!(^_^)v

何より、他者に対して寛容になれる。
他者との違いを楽に受け入れられるようになる。

誰かに自分を解って欲しい…と過剰に期待することもなくなるし、解ってもらえないことが不当だと思わなくなる。 そもそも皆、生まれ持った要素が違うから、同じように感じたり、考えたりすることは難しいのだ。
あらためて、お互いの「個性」を、本気で尊重することができるようになるのだ。

そう。
共感したり共有するためには、お互いの資質や要素、能力を確認することが必要なのだ。

何度か、ソールコード(SOUL CODE)のワークショップを開催して思うのは、誰もが家族の性質を誤解し、確執を抱えたまま悩んでいるケースが多いことだった。
家族という近い間柄だからこそ過度な期待が生まれてしまうのだろう。
家族ゲームは、各自の幻想が繰り広げる壮大なドラマだと云えるけれど、自分や家族の性質を知ることで、そのドラマの舞台裏や、解決の糸口が見えはじめるのだ。

ソウル・コードを読み解くと、まるで占いのようだと云う人がいる。実際に、コードと数秘術を組み合わせた情報だけでも、かなり詳しいパーソナリティが見えてくるので、よっぽど下手な占い師よりも正確な情報が得られる。(笑)

占いと言えば、かのユングは占いに凝っていたことは有名だ。東洋の易学を研究し、毎日のように八卦のサイコロを振って、その日の卦(吉凶)を占っていたらしい。多分、ユングはシンクロニシティの神秘を易に見いだしたのだろう。一方、コードは統計学のように科学的な理論であり、そこに陰陽の色彩の要素も加わり、かなり詳しいデータとなっている。

前編で紹介した、シャドウの原理を知ることも複雑な人間関係を読み解くツールとなるが、このコードも重要なお役立ちグッズとなるはずだ。

真実は見えているようでいて見えないもどかしさがある。それは、私達が巨大なフィルター(観念)を持っているからだろう。

そして、エゴはこの観念が大好きで、なかなか手放そうとしない。そもそも、人間関係とはエゴの狂想曲のようなものだから、解けない問題にさんざん悩みつつも、楽しんでいるかのようだ。

それでも、あきらめないで親密な人間関係づくりに取り組みたいという人は、ぜひソウル・コードの智恵を紐解くことをお薦めします。

そこには、秘密を解き明かす鍵が隠されているかもしれません。

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