トラウマサバイバーからスライバーへ

心的外傷を持つ人または、虐待がある機能不全家族の中で育った人を、トラウマサバイバーと呼びます。また、レイプや事件に巻き込まれた、心的外傷を負った人たちを、同じようにサバイバーと呼ばれています。彼らは、文字通り生死を分けるような体験から生還(サバイバル)した人、すなわちサバイバーなのです。
このような体験をした人はとても高い確率でアダルトチルドレンの特徴をもっています。 その傷による反応から、彼らは常に不安感を抱え、被害者的な意識から抜け出せない状態に陥っています。
意識が被害者的であることから、その態度や思考性も受動的で外的なものにコントロールされるという、役割を引き受けてしまう傾向があります。
もちろん、そのような心理状態や現実対応の困難さを抱えて生きるということは、辛いことですが、どうしたらその苦痛から抜け出せるのか?を知る機会がないまま過ごす人はとても多いのではないでしょうか。
まず、彼らは苦痛から抜け出す事、意識を変えることに対し、無意識の抵抗や抑圧、乖離の反応を示します。 それは、同じように無意識の中に、自分の役割(被害を受ける役割)を担うという義務感を抱えていると、考えられます。
そんな状況を変化させるためのはじめのステップは、まず自分の置かれている状況、自分の心の状態を知り、自分の心の傷について、認めることが始まりとなります。

彼らが幸せになるためには、サバイバーというアイデンティティーを捨てて、暗い闇の中から自力で這い出し、新しい自分のアイデンティティーを勝ち取らなければなりません。そんな自立を達成した人のことを、スライバー(thriver)と呼びます。 thriveは成長するという意味を持っています。
生存するぎりぎりのエッジの中に留まらず、逃げるという選択でもなく、勝利するという極端なエッジではない、成長という言葉は、なにか生まれそして息づく生命力を感じさせます。
サバイバー達が、自分の意志でスライバーになるとき、それはきっと勝利なのだと思えます。私たち援助者は、彼らの良き理解者となり、そのプロセスを支持することが、何よりの生きがいとなっています。 彼らの中の不動のリソース(心的資源)を信じて、自立への道に光を当てることだと思うのです。